2006/10/22

・Men At Work - Down Under 03:31

Men At Work - Down Under

03:31
Added August 14, 2006
From guchorj
Men At Work - Down Under.

ここから----
ダウン・アンダーはオーストラリアのあだ名。

それがいつのまにかアジア大好き国家になって,2005年の貿易相手国の1位が日本(20.3%) 2位が中国(11.5%), 3位が韓国(7.9%)。アジア大好きになるのはいいもののワールドカップでアジア枠に入って来ることまでしなくてもいいのに・・・

オーストラリア出身の歌手と言えばオリビア・ニュートン・ジョンとヘレン・レディ(私は女),そして生まれはイギリスながら幼い頃にオーストラリアに移民したビー・ジーズ(マサチューセッツ,ホリディ)のギブ兄弟が有名。 

彼らと比べるとメン・アット・ワークは一般的な知名度は低いが,ビルボード・トップ100の1位になった曲が2曲("Who Can It Be Now?""Down Under" ともに1982年),3位が1曲("Overkill" 1983年),6位が1曲("It's A Mistake" 1983年)と合計4曲もベスト10以内に曲を送り込んだツワモノ達。「60年代70年代と80年代以降ではランク物に入る曲の質が違いますからねえ」という声が聞こえなくもないなが,少なくとも『ダウン・アンダー』のオーストラリアでの人気は高く1983年のワールド・カップ・アメリカ大会ではオーストラリアの非公式テーマ・ソング(並びに非公式国歌)として再リリースされた。

『ダウン・アンダー』はちょっと目,自国礼賛の国粋主義的歌に見える。しかしリード・シンガーであり作者のコリン・ヘイはこの歌は自国の資源(自然のみならず文化を含め)が欲深な者に搾取されていることを警告するために作ったということ。コーラスにある Under と韻を踏んでいる plunder (略奪する, 横領する)が彼の一番強調したい部分なのか。
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【歌詞について】
『ダウン・アンダー』のプロモーション・ビデオを見ると歌詞をコミカルな味付けで忠実に再現していることがわかる。最後の棺おけを運ぶシーンは歌詞にはない。 

わずかだがオーストラリア独自の単語があるので注釈をつけておく。
1 fried-out Kombi  壊れたフォルクスワーゲンのバン。語源はドイツ語の Kombinationskraftwagen「複合的利用の(ワゴン)車」。 fried-out は本来の意味は油などがフライパンを熱するために飛んでしまっている状態。そこから車や車のエンジンなどが熱でガタが来てしまっている状態を意味するようになったようだ。
2 zombie マリファナの一種 
3 Vegemite ベジマイト。発酵したイースト菌に野菜やスパイスで風味をつけたスプレッドで商標。このままパンに塗るのではなくバターや溶かしたチーズとともに塗って食べるようだ。虫歯が痛むときに舐めると痛みが取れる民間療法もあるそうだ。(そう言えば見た目が毒掃丸を溶かしたみたいな感じがする)

Down Under (Ment At Work)
ダウン・アンダー (メン・アット・ワーク)  

Traveling in a fried-out Kombi1
On a hippie trail, head full of zombie2
I met a strange lady, she made me nervous
She took me in and gave me breakfast
And she said,
壊れたフォルクスワーゲンのバンに乗り
ヒッピーの旅 マリファナで頭は逝っちゃってる
途中変な女にあって ヤバイかなと思ったけど
彼女はボクを家に入れて朝食をくれた
そしていわく

"Do you come from a land down under?
Where women glow and men plunder?
Can't you hear, can't you hear the thunder?
You better run, you better take cover."
「オーストラリアから来たのね。
 燃えるような女と略奪する男のいる国…
 ほら 聞こえない? 雷の音が。
 逃げなさい 避難したほうがいいわ」
 
(short instrumental break)

Buying bread from a man in Brussels
He was six foot four and full of muscles
I said, "Do you speak-a my language?"
He just smiled and gave me a Vegemite3 sandwich
And he said,
パンを男から買ったのはブリュッセルでのこと
男は6フィート4インチのマッチョだった
ボクは尋ねた「ボクの国の言葉 話します?」
男はただ笑みを浮かべ ヴェジマイト・サンドをくれた
そしていわく

"I come from a land down under
Where beer does flow and men chunder
Can't you hear, can't you hear the thunder?
You better run, you better take cover."
「俺はオーストラリアから来たんだ。
 燃えるような女と略奪する男のいる国さ。
 おい 聞こえねえか? 雷の音が。
 逃げろ 避難したほうがいいぜ」
 
(intrumental break)

Lying in a den in Bombay
With a slack jaw, and not much to say
I said to the man, "Are you trying to tempt me
Because I come from the land of plenty?"
And he said,
怪しい場所で寝たのはボンベイ
口をボケッと開け あまり言うこともなく寝てた俺は
そこの男に言った 「ボクを唆そうとしているんだろ。
ボクが来たのが豊かな国だから。」
男いわく

"Oh! Do you come from a land down under? (oh yeah yeah)
Where women glow and men plunder?
Can't you hear, can't you hear the thunder?
You better run, you better take cover."
「オーストラリアから来たのか。(そうそう)
 燃えるような女と略奪する男のいる国か…
 おい 聞こえないか? 雷の音が
 逃げろ 避難したほうがいいぞ」

"Do you come from a land down under?
Where women glow and men plunder?
Can't you hear, can't you hear the thunder?
You better run, you better take cover."
「オーストラリアから来たのだか。
 燃えるような女と略奪する男のいる国か…
 おい 聞こえないか? 雷の音が
 逃げろ 避難したほうがいいぞ」

"Do you come from a land down under?
Where women glow and men plunder?
Can't you hear, can't you hear the thunder?
You better run, you better take cover."
「オーストラリアから来たのだか。
 燃えるような女と略奪する男のいる国か…
 おい 聞こえないか? 雷の音が
 逃げろ 避難したほうがいいぞ」

"Do you come from a land down under?
Where women glow and men plunder?
Can't you hear, can't you hear the thunder?
You better run, you better take cover."
「オーストラリアから来たのだか。
 燃えるような女と略奪する男のいる国か…
 おい 聞こえないか? 雷の音が
 逃げろ 避難したほうがいいぞ」

"Do you come from a land down under?
Where women glow and men plunder?
Can't you hear, can't you hear the thunder?
You better run, you better take cover."
「オーストラリアから来たのだか。
 燃えるような女と略奪する男のいる国か…
 おい 聞こえないか? 雷の音が
 逃げろ 避難したほうがいいぞ」

訳: HideS
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オーストラリアの60年代のポップスで一番有名なのは日本ではザ・ピーナッツやダニー飯田とパラダイス・キングなどがカバーした『悲しきカンガルー』。原詞はかなり癖のある内容で,これを作って歌ったのがオーストラリアの漫画家でありテレビ・タレントであるロルフ・ハリス。1950年代のオーストラリアのテレビ放送の草創期にある番組でマンガの「速描き」をすることで人気が出たそうだ。 

『悲しきカンガルー』は1957年彼が27歳のときに作った作品で,歌詞には人種差別的なくだりも見られる。またブラック・ユーモアに満ちた,人によっては不快感を持つであろうオチの歌。70歳を越えた今も現役で活躍中のようでウェッブ上にはこのような彼の作ったアニメがあった。
イスラム教徒を揶揄する作品もあるようでロルフ・ハリスという人は毒気のあるタレントという印象を持った。
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【『悲しきカンガルー』歌詞 語注】
1 stockman (オーストラリア英語) 牧場使用人
2 me 非標準英語 これに続く名詞が無冠詞であることからここでは my の意味で考えればよいと思われる。
3 wallaby ワラビー(小形のカンガルー)
4 sport (オーストラリア英語) 男
5 cockatoo ボタンインコ
6 Abos  オーストラリアの原住民・アボリジニ(Aborigine)に対する差別語。18世紀末のイギリスのオーストラリア植民地化とともに多数のアボリジニが殺害された。わずかに内陸部に生き残ったアボリジニも20世紀になって本格化した白人を社会階級の優位に置く白豪主義政策のもと保護地区に移住させられ,また子供を親元から隔離してアボリジニの文化を否定し白人文化を植えつけるなど,アボリジニは白人たちから虐げられていた。この歌のできた1950年代末はオーストラリアは白豪主義の真っ只中でこのような差別的な歌詞も公に認められていたようだ。しかし1970年代半ばからオーストラリア政府が白豪主義を撤廃し始めるとアボリジニの待遇も徐々に改善し,1993年には先住権が認められ過去没収されたアボリジニの土地が彼らの元に返還されるようになった。またこの年に地名にアボリジニの言葉と英語を併用する dual naming policy が採用され,例えば有名なエアーズ・ロックは英語名 Ayer's Rock とともにウルル(Urulu)として表記されるようになった。
7 platypus duck カモノハシ。独特の形のクチバシを持つ卵を生む哺乳類として有名
8 Bill 人名。しかし小文字にすればクチバシの意味もあることからこの前にある platypus duck (カモノハシ)と関連させたと思われる。
9 didgeridoo ディジャリドゥ アボリジニの民族楽器。
10 shoot through (オーストラリア英語) 死ぬ
11 Clyde  前にある he died と同格。

Tie Me Kangaroo Down Sport (Rolf Harris)
悲しきカンガルー (ロルフ・ハリス)


(Spoken)
There's an old Australian stockman1, lying, dying
and he gets himself up on one elbow
and he turns to his mates
who are gathered 'round him and he says:
(セリフ)
年老いたオーストラリアの牧場使用人が横たわり死を迎えようとしている
男は肩肘をついて身体を起こし
仕事仲間に顔を向ける
回りに集まった仲間に男は言う

Watch me2 wallabys3 feed, mate
Watch me wallabys feed
They're a dangerous breed, mate
So watch me wallabys feed
All together now!
気をつけて私のワラビーにエサをやってくれ 君
気をつけて私のワラビーにエサをやってくれ 
ワラビーは危険なやつらだ 君
だから気をつけて私のワラビーにエサをやってくれ
さあ, みんないっしょに歌おう

Tie me kangaroo down, sport4
Tie me kangaroo down
Tie me kangaroo down, sport
Tie me kangaroo down
私のカンガルーを縛りつけてくれ 君
私のカンガルーを縛りつけてくれ 
私のカンガルーを縛りつけてくれ 君
私のカンガルーを縛りつけてくれ 
さあ, みんないっしょに歌おう

Keep me cockatoo5 cool, Curl
Keep me cockatoo cool
Don't go acting the fool, Curl
Just keep me cockatoo cool
All together now!
私のボタンインコを暴れさせるな カール
私のボタンインコを暴れさせるな
ふざけるのはやめろ カール
私のボタンインコを暴れさせるな
さあ, みんないっしょに歌おう

Take me koala back, Jack
Take me koala back
He lives somewhere out on the track, Mac
So take me koala back
All together now!
私のコアラを連れ戻してくれ ジャック
私のコアラを連れ戻してくれ
どこか獣道から外れたところにいるのだろう マック
だから私のコアラを連れ戻してくれ
さあ, みんないっしょに歌おう

※(この連は人種差別的表現があるとして後に削除されている)
Let me Abos6 go loose, Lou
Let me Abos go loose
They're of no further use, Lou
So let me Abos go loose
All together now!
私の土人たちを解放してやれ ルー
私の土人たちを解放してやれ 
彼らはもう役立たずになるのだから ルー
私の土人たちを解放してやれ 
さあ, みんないっしょに歌おう※

Mind me platypus duck7, Bill8
Mind me platypus duck
Don't let him go running amuk, Bill
Mind me platypus duck
All together now!
私のカモノハシの面倒をみてくれ ビル
私のカモノハシの面倒をみてくれ
やつが暴れるのを許さないように ビル
私のカモノハシの面倒をみてくれ
さあ, みんないっしょに歌おう

Play your didgeridoo9, Blue
Play your didgeridoo
Keep playing 'til I shoot through10, Blue
Play your didgerydoo
All together now!
お前のディジャリドゥを吹いてくれ ブルー
お前のディジャリドゥを吹いてくれ 
私が死ぬまでお前のディジャリドゥを吹いてくれ ブルー
お前のディジャリドゥを吹いてくれ 
さあ, みんないっしょに歌おう

Tan me hide when I'm dead, Fred
Tan me hide when I'm dead
So we tanned his hide when he died, Clyde11
(Spoken) And that's it hanging on the shed
All together now!
私が死んだら私の皮を剥いでくれ フレッド
私が死んだら私の皮を剥いでくれ―
それで私たちはクライドが死んだとき彼の皮を剥いだ
(セリフ)ほらあれだ 小屋にかかっているやつだ
さあ, みんないっしょに歌おう

訳: HideS
----ここまで。
http://www.eigo21.com/03/pops/zz16.htm
を参照。